今村

イマ☆タカDance Familyの「ラストダンスは私に。」を観てきた。本来感想とか書くのクソめんどくせえと思っているのだけど、これまた感動してしまったので、書く。

もう1回書くけど、イマ☆タカDance Familyの「ラストダンスは私に。」を観てきた。通り名の苗字部分と名前部分に「☆」が入るのは、日本ではつのだ☆ひろ、ダイアモンド☆ユカイと、イマ☆タカしかいないと言われている。以降、「☆」を打つのがスーパーめんどくせえので、イマタカと書かせていただきます。

まず、受付後にもらえるいわゆる当日パンフレットというものに書かれている「ごあいさつ」、ここに綴られているイマタカの文章からすばらしいと思ってしまった。イマタカ、こんなにいい文章書けたんだね。仕事で顔をあわせる面々、メール以外で文章を読む機会がほとんどないため、文章とか書けないんじゃないか、ていうかひらがなくらいしか書けないんじゃないかと思っている節があったのだけど、イマタカ文章ちゃんと書けるし、なんならめちゃくちゃすばらしい「ごあいさつ」を書いていたので、軽くグッときてしまった。

その、当日パンフレットを渡すなどのいわゆる受付に入っていたのが、昨年いっぱいで劇場を退職したM女史だったことにも驚いた。M女史が退職するの全然知らなくて、劇場内のイントラ的なやつで最終出勤日当日に知ったので、慌てて電話をかけて、お世話になりましたという旨を伝えたところ、「あとで連絡先メールしときますね〜」と言われたまま連絡先は届かず、2017年が終わり、2018年が始まって、1か月が過ぎた。松本さん、ご連絡お待ちしております。

会場に入ると、すでにダンサーたちがなんかしていた。俺は客入れ時のこういうの、どうやって見ていいかわからないんだ。特に、お客さんたちを巻き込む類のやつ、かなり上手にやらないと「自分無理っす」ってなっていくタイプなんだ。客入れ時間中ずっとなんかしていたので、ずっと「絡んだら殺す。本番前であろうとなんだろうと、絡んできたら確実にお前の息の根を止める」と思っていたら、誰も来なかったので安心しました。そういうの、パフォーマーはちゃんと感じて避けてくれるんよね。

その緩やかな空気の延長から開演。構成としては、「インタビュー→ダンス→インタビュー→ダンス→(繰り返し)」という感じ。ひとり目の方が上手端でインタビューに答える。インタビュアーは存在せず、架空の質問に向かって回答する、という感じ。回答の仕方がうまいので、質問がなんとなく見えてくる。おそらく最後の方の質問は、「あなたにとってイマ☆タカDance Familyとは?」みたいな感じ。その質問への回答をきっかけに、ダンスが始まる。

7〜8人のダンサーの真ん中に、イマタカがいた。その姿を見た瞬間に、なぜかグッときて、泣きそうになってしまった。なんでかわからないけど、簡単に言うとエモかった。なんかこう、「これまでたくさんがんばってきて、とうとうこの日が来たね……よかったね……ほんとよかったね……」とかそういうのだったらまだわかりやすかったんだけど、なんで泣きそうになったのかよくわからん。ただただ、存在がよかったと言うしかない。

1曲目が終わり、また別のメンバーのインタビューを挟み、2曲目が始まる。3曲目に入るころには、この作品の構成が見えてくる。それはつまり、「このダンスパフォーマンス作品は、こういう筋で楽しんでくれたらわかりやすいと思いますよ」という親切な案内だと思う。

話は逸れるけど、俺は(個人的な嗜好として)ダンスっていうのがよくわからん。なんで踊るのかっていうのもあるけど、簡単に言うと、楽しみ方がわからん。演劇なんかはストーリーがあるので、ストーリーの良し悪しがまず軸になる。そのうえで、演じている俳優たちの良さ/悪さが加点/原点されて、満足度につながる。これは映画なんかでも同じだと思う。極論すれば、マンガや小説でも同じような加点/原点法で楽しんでいると思う。それに比べると、ダンスは筋がないのでムズい。クラシック音楽なんかもそう。楽しむためにまずリテラシーがいるのだろうかと思ってしまう。

その点、今回のこの作品は「筋」があってとても楽しみやすかった。インタビューを挟むことで、全然知り合いでもなんでもなかったダンサーの方のパーソナリティーがグッと近くなる。自然と、そのひとを応援するような気持ちで1曲1曲を見ていく。俺はアイドルを好きになる感覚とかあんまりわかんなかったんだけど、気がつけば俺にも「推しメン」ができていた!!!!!

まず、最初にインタビューに答えていた女性!!!!!とてもよかったですね……。「最初にインタビューに答えていた女性」と書かねばならないくらい名前覚えてないけど……。そして、JKのうちの後者!!!!!客入れ時、JK2人組マジ苦手……と思っていたけど、なんか好きになってしまいました。このひとも名前覚えてないけど。そして、なんといっても小鉢!!!!!小鉢だけは名前を覚えているよ!!!!!なぜなら昔仕事で一度ご一緒したことがあるから。以前仕事でご一緒したときも、不思議な魅力があると思った記憶があるんだけど、今回その魅力を再認識できてよかった。これらの推しメンがセンターなんかを飾った日にはもう。「俺の!名前知らんけどさっきのあのひとが!」とか、「小鉢!!!!!俺の小鉢!!!!!」みたいな気持ちになって楽しかった。

けど、推しメンとイマタカがいっしょに踊ると、やっぱイマタカに目が行って、推しメンよりイマタカ見てしまうんだよな〜。イマタカがいちばんの推しメンってことか〜。

後半に差しかかったころ、観客も交えての時間がちょっとだけある。手だけでできる簡単な振り付けを、曲の途中でみんなで踊る。それだけで軽く汗をかいてしまう中肉中背の37歳独身男性の俺は、それまで着ていたダウンジャケットを脱ぎ、振りに参加した。手を動かすだけで汗かいて暑くなるってなんなん。

みんなで盛り上がった曲が終わると、楽しく踊っていたはずのメンバーが少しずつ、お別れのあいさつを告げて去っていく。……当日パンフレットの「ごあいさつ」はこの構成の伏線だったのか!!!曲が終わるたびに、メンバーがさよならを告げて去っていく。中には本当に涙ぐんでいるひとも何人かいたりする。タイトルがタイトルなだけに、実はほんとにこれがこのメンバーでのラストダンスなのか?それで泣いてるのか?と思わせたりしてハラハラする。お芝居では縁起の延長でマジ泣きされると急に醒めてしまうのだけど、ことダンスになると、マジ泣きされたらどうしていいのかわからんくなる。演技じゃないような気になってくる。今にして思えば、このへんも腹黒いイマタカが「マジで泣けばお客さんぜってー騙されるから」と指示をしてのことなのだろう。みたいには決して思えない、マジエモい涙がそこにあった。まあ実際はイマタカが「マジで泣けばお客さんぜってー騙されるから」と指示をしたんだと思うけど。

そうやって、曲が終わるたびにメンバーが減っていく。劇場の事業で存じ上げているこじこじやぞうさんは、しぶとく最後の方まで残っていた。わかる。わかるよ。ふたりとも残りそうだもん。そして、俺の推しメンこと小鉢も最後の方まで残っている。ぞうさん、普段はあんまりそういう風に見えることないんだけど、今日はなぜか「前髪をあげて顔が見える状態の貞子」に見えた。なんでだよ。アクティブな貞子がイマタカとふたりで日食なつこの「水流のロック」を踊るのを見て、不覚にもグッときてしまった。顔が見える貞子なのに……。

貞子も退場し、ついに最後のひとり、俺の推しメン小鉢とイマタカが踊る。曲を終え、小鉢がマジ泣きして去る。去り際にあの言葉になってない音を発するの、ゾクゾクしましたね……。そして、誰もいなくなってしまった部屋をひとりで眺めているイマタカ。客席からはイマタカの背中しか見えず、でも、背中の微妙な震えからものすごくいろいろな感情が伝わってくる。なんなの。これ演技だとしたらめちゃくちゃすごいし、演技じゃないとしてもめちゃくちゃエモい。そんななか、最後の曲をイマタカがひとりで踊る。最後は、まあ、やっぱみんな出てきて、そうなるよね〜という感じの画になったんだけど、こういうとき「そうなるよね〜」というベタベタな画が出てくることほど攻撃力高いこともないと思う。

一連のパフォーマンスが終わって、最後の挨拶で「まだ去りませんよ〜フィクションですよ〜」という説明があって、ようやく本当に安心できた。マジで「これで最後です」って言われても納得できるくらい、全員が本気で最後に向き合ってて、ひょっとしたらお芝居観るよりも作品世界に騙されてたかもしれない。すごく、めちゃくちゃよかったしおもしろかったし、なにより、胸を打った。

これまでダンス作品で本当に感動したのってカンパニーデラシネラしかなかったんだけど、今日、もういっこ増えた。めちゃくちゃおもしろかった。見せてくれてありがとうっていう気持ちになった。また見たいし、また見られる日が来るだろうなと思えることをラッキーだと思いたい。これ2018年に観た舞台作品のなかでいちばんよかった!って言いたいけどいままだ2月頭だし、今年のベストを決めるのは時期尚早という感じがするけど、確実に今年の上位に食い込んでくる名作を観たと思う。