仕事の適切なスピード

仕事が速いのをよしとされることが多いが、ほんとにそうか? と思うようになった。

デザイン案件、たまに「なる早で」と頼まれることがある(以前、「昨日入稿」という案件を頼まれたこともあります。概念がすごい)。なる早と言われると、急いでるんだなと思って初校をめっちゃがんばってその日中に出したりするんだけど、最近これ自分にとってあんまよくないんじゃないかと思うようになったのを、図にまとめましたのでごらんください。

熟練、俺です。駆け出し、架空の誰かです。

なる早で、たとえば今日話が来て3日後には入稿したいとなったとき、1日全部のリソースをその3日間使えるものとして、1日10時間×3日使えるとします。実際には相手の原稿チェックの時間とかもあるので、よい設定ではないけど。まあモデル化してそういうことにしとこうや。

ほんで、なる早ってことなので、早めに初校を出したら、結局みっちり10回・30時間分修正する羽目になることがある。まあ10回も修正することあんまないけど、あるとしようや。それに比べると、駆け出しのひとは3回しか修正しない。

これは設定からちょっと極端ではあるけど、これに近いことは往々にしてあって、これって途中から「なる早」が「なる早かつクオリティのよいもの」にすり替わってしまっている。私はデザインのスキルはそんなに高くないので、クオリティのよいものを作りたいのであれば、お金を出して腕の良いデザイナーさんに頼んで……と思うのだけど。

「早い」というのもクオリティのひとつだという認識がないと、こういうことになるんだろうなあと思い至った。たとえばこの例で言うと2回の修正でおしまい、さっと刷ってしまおう、だって情報に間違いはないからみたいな考えがあると、熟練の人なら10時間、駆け出しのひとなら25時間がかかるので、ここで差が出る。熟練のひとも「10時間で終わった〜」で済む。スキルに応じてみんなハッピー。

あとこれはもう完全にグチだけどさ、なる早と言ってくるクライアントが反応めっちゃ悪いことがある。なんで俺だけが急いでんだ? という気持ちになる。

熟練の俺は仕事が早いので、結構この「なる早のすり替え」を経験してきたような気がするんだけど、それに対するソリューションが「仕事を遅くする」くらいしか思いつかなくて、解決策としてはあんまり健全とは思えないけど、「真綿で首を絞める」ってこういうことなのかなと思った。仕事が「早い」のも適切なスピードではないのかもしれない。

あと、チラシをめちゃくちゃ請け負っているいまこういうことを書いてしまったので、いまチラシを頼んでくれている方々への不満と取られかねないけどそうじゃないです。いま頼んでくれてる方々、納期はタイトではあるけど反応もちゃんと早くて、チラシをいっしょに作っていますねという感じがするので仕事がしやすい。

チラシを作るのはデザイナーだけの仕事ではないということですね。